院長コラム7月号
大統領に再選されたい人、オリンピックをなんとかして来年開催したい人、皇帝としてずっと国を支配したい人だけでなく、一般の人々も早く、この新型コロナウィルスを撃退してくれと、願っていると思います。
多くの国で、多くの製薬会社が新型コロナウィルス対策の為の薬の開発に、ものすごいお金と人を使って競争しています。しかし、これだという新薬はまだ出てこず、感染拡大は続いています。世界の優秀な頭脳と資金を使ってもできないほど、新型コロナウィルスに対応する薬を作るのは、そんなに難しいのかと考えてしまいます。
薬でウィルスによる感染を防ぐ方法は、抗ウィルス薬とワクチンの二つの方法があります。HIV、C型肝炎、エボラ出血熱には抗ウィルス薬、はしか、おたふく、風邪、ジフテリアなどのウィルスにはワクチンが使われています。これらのウィルス感染症は、長い間人類を苦しめた歴史をもっていて、その対策に多くの先人達が、長い年月をかけて苦労し、成し遂げた結果です。
今回の新型コロナウィルス感染症も、一刻を争って、別のウィルスに効果のある薬を使ったり、ワクチン作りの為に様々な方法を試みています。しかし、最新の技術力をもってしても、ウィルスに対する薬づくりは、短時間に発見し実用化できるものではないようです。
また、一つの新薬がみつかったとしても、それを人に投与できるようにするには、治験(ちけん)といって、効くかどうか、害がないか、多くの人に実験に参加してもらい、1~2年かけて調べてから、実際の薬として使われます。今回のケースにしてもまだワクチンの治験が始まったばかりなので、実用までには半年や1年先の話しなのです。
3密を避ける、うがい、手洗い、マスクをする、換気をするといった基本的な方法で、身の安全を守りことが大切です。