院長コラム8月号
健康で自立した生活を送る健康寿命と、生きているだけと言う平均寿命の差はだんだん大きくなっていて、
今や男女とも10年前後の開きがあり、今までにはなかった様々な問題が起きています。
例えば、骨折は寝たきりになる原因の1つです。高齢になると骨の硬さが落ちて骨折しやすくなります。
その原因は、主に食事とともに運動不足であり、骨を支えている筋肉が落ちてしまうからです。
高齢者のよく行くところに病院や医院があります。そこでしばしば処方されるのが、「ビスホスホネイト製剤」と言う
舌を噛みそうな名前の、骨がスカスカになるのを防ぐ薬があります。
この薬は長く続けていくと骨を強くする効果が出ます。歯科に通っている患者さんの多く骨折を避けるために使っています。
しかし、この薬を使っている患者さんは、歯が痛くても、その歯を抜くことができません。
歯を抜くと歯を支えている顎の骨にばい菌が入ります。
通常は自然に、それでも治るものが、この薬を飲んでいる人は、抜いた後の穴が塞がらず治るどころか、
悪化して骨が腐ってしまいます。
その場では抜けないので、鎮痛剤で抑えておいて、投薬されているビスホスホネイト製剤は緊急の薬ではないので、
2、3ヶ月休薬してもらい、そのあとで、歯を抜くことにしています。